「パキスタンから仕入れた右しゃがパン」 チクリン選手インタビュー

昨年の勝烏大会で惜しくも決勝でITOちりちり選手に敗れた長崎の雄・チクリン選手。以降、2019年は福岡で開かれたEVOJAPANで日本人としては最高位の4位、「ラストサムライ」の通り名が定着するようになった。

今年はパキスタンに武者修行、その後闘神祭をはじめ、韓国やアメリカにも積極的に遠征し次々に優勝。ついには年末、TWT2019ファイナル(鉄拳の世界大会)で優勝を果たし「世界で最も鉄拳が強い男」となった。

2020年は今年以上に充実した年を迎えられるか。その試金石としてまず年明けの「勝烏」奪取を狙うサムライのホームを尋ねた。(聞き手:佐賀県eスポーツ協会事務局長 中島康晴)

「勝烏」大会申込フォーム(2020年1月5日9時半~)

女流大会「勝姫」申込フォーム(同日11時~)

アッシュが7人?嘘だろ

ーTWT優勝おめでとうございます。今年は台頭してきたパキスタン勢との闘いもある中で、例年以上にハイレベルな大会だったと思います。

そうですね、2019年のevojapanで優勝したパキスタンのArslan Ash選手が、大会後のコメントで「自分と同じくらい強い選手が自国には7人いる」と言っていたのが衝撃的で「そんなわけないだろっ!」と思って、実際に行ってみたんですよ。自分はやっぱり強い人とやるのが好きなんで…。

そしたら、アッシュの言ってたことは本当で、結構負けちゃったんですよね。その時、こういう選手が世界にはいるのに、経済的な理由で表舞台に出られないのは勿体ないなと思ったんです。でもやっぱりevojapanの衝撃が、彼らにはいい宣伝にもなったようで、それからスポンサーがいくつか付いて大会に出られるようになったんですね。すると思った通りでやっぱり彼らは強く、優勝、優勝、優勝、と、この業界の様相を変えてしまいましたね。すごいなと改めて思いました。

ー彼らの強さの理由は一体どこにあるのでしょうか。

まぁ、単純に反応がいいという感想もあるんですが、、それ以上にやはりオフラインで鉄拳をやれる環境が出来ているというのが大きいと感じましたね。日本では今オンラインでの対戦が主流なのですが、オンラインでは1人でやる時間が長くなってしまって、いま対戦した内容の反省や感想戦がしにくい。ラグもあるので、万全の環境とも言い難い。

しかしパキスタンの人たちは、常にオフラインでやっていてコミュニティの仲も深く、互いに意見交換したり励ましあいながら徐々にレベルが上がっていく。逆にオンラインが主流の日本はやや成長が止まっていると感じました。これは自分だけではなく、日本のプロでやってる人はみな危機感を感じて、今は有志で集まってオフラインの練習の時間を東京などで集まって取るようにしています。これはやっぱり効果抜群で、それで日本もレベルがまた上がってきたと思いますね。

ーなるほど。TWT優勝の背景にそうした過程があったとは知りませんでした。そのTWTではパキスタン得意の「豪鬼」を最終戦まで温めていたのが印象的でした。

元々自分の中で「豪鬼」はあまり高い評価ではなかったんですが、ちゃんと使いこなせたら強い、このままでは絶対にパキスタンに勝てないなと思って対策のために自分がまず使えるようになろうと思って練習し始めたんですね。

それである程度使いこなせるようになってきた時に、自分がメインで使っているギースというキャラと比較して考えてみると、鉄拳の世界規模の大会で必ず当たることになる韓国のウルサンというプレイヤーにこのままでは絶対勝てないなと思うようになったんです。これはもう普段の立ち回りだったり人間性能的に。ただ、彼の使うキャラに対して「豪鬼」なら相性がいいんですね。つまりウルサン対策で豪鬼を用意していこう、と途中から考えるようになりました。

ー仕上げるのにどれぐらいの期間を

2か月ぐらいでしたかね。パキスタンの選手が使う豪鬼の全てを真似できたわけではないんですよ。やっぱり彼らの人間性能ありきの立ち回りなどもあって。でも起き攻めなどのセットプレイやコンボ、技の置き方など真似出来る点は暇さえあれば練習してものにしました。

自分は常に「イケない」と思ってやってます。

ー技の置き方にもパキスタン流があったんですか

というかもう2RP(右しゃがパン)ですね。一時期日本でも話題になりましたけど、この技がもう全体硬直が少なくて隙が全然ないのに、当たったら半分減るという無双な強さで。パキスタンから取り入れたのはこの右しゃがパンの使い方と言っていいですね。

ーなるほど。パキスタン、韓国と世界を意識する中で、今年のチクリンさんの実績が積み重なっていったんでですね。2020年はおそらく「勝烏」が皮切りになると思うんですが、去年の「勝烏」大会の印象はいかがでしたか。

選手に配慮してくれている非常にいい大会だと感じましたね。休憩室があったのが感激でした。なかなかないんですよ。休憩室は。セッティングもちゃんとされていて、楽しかったですね。

ーちりちりさんとの決勝まではやっぱり圧倒的な強さでしたね。いけるという感覚はあったんですか。

いや、自分常に「いけない」と思ってやってます(笑)ちりちりさんまでも危ない試合いくつかあったんですよ。初戦の「そらじ」くんのポールにいきなり1本取られた時はまずい!と思いましたね。その試合は何とか勝ったんですが…。そのあとも「たいせい」「弁慶」さんと苦しい試合はありましたね。当時の自分はまだ全然大会慣れしてなかったのもあって。

ーその「ちりちり」さんとの決勝なんですが、いま振り返っていかがですか。

ちりちりさんとは仁で対戦しましたね。シャヒーンとの相性がいいキャラなんです。確定反撃が優れているキャラなので。それと、仁は長期戦で力を発揮するキャラなんですよ。相手のクセを読んでそこにカウンターを叩きこむというキャラなんで。決勝は3先でしたから、それなら仁でいけるかなと思ったんですが、今振り返ると逆に焦って技を振ってそこにカウンターをもらうシーンも多くて。いや、ちりちりさんはやっぱり強かったです。ただ今年はシャヒーンというキャラをだいぶ研究しましたんで、去年よりはいい試合が出来るんじゃないかなと思っています。

一方的な展開が出来て横移動まで強い

ー今年はどのキャラを使われるのでしょう。

もし大会までに調整が入らなかったらリロイスミスで行きたいと思っています。いや、仮に弱くなったとしてもリロイは使いたいですね。今のリロイというキャラが非常に好きなんですよ。詠春拳という型も非常に好きですし、弱くなっても自分は使うと思います。後は5日までにどれだけ仕上げられるかですね。

リロイの他にはやっぱりギースですかね。ギースは昨年と違って、技の性能が全体的に落ちた代わりにコンボに特化した火力キャラになったんですよ。ギースを使う場合はコンボを見てほしいですね。仁は…チョコチョコ使ってはいるんですが、頻度は下がりました。やっぱりあのキャラ長期戦向きなんで大会には向いていない気がする。

ー今大会はリロイ旋風が吹き荒れそうですね。リロイと戦うプレイヤーはどんなことに気を付ければいいんでしょう。

まずリロイの圧倒的な攻撃力の前にどう守るか、ですね。本当にハマると一方的な展開が続いちゃうと思うんで、それをどう受けきるかということだと思います。巷では連環拳破 (LP LP WP LP、いわゆるワンワン両パン)が目立って強いと言われていますが、それ以外の技も強いものばかり。言うなればこれは鉄拳の強い技のいいとこどりの集大成のようなキャラなので、出す技全部強い上に横移動まで強い。そして火力ですから。

ー横移動まで強いんですか。

強いです。平均以上は確実にある。

ーそんなリロイにも弱点はあるのでしょうか。

近距離で左横移動をしっかりやれば、結構技をスカせる場面も多いんで、横移動の習熟度合によっては対抗できると思います。ただ横移動が苦手な人なら本当に苦しむと思いますね。

ー自信のほどはいかがですか。

自信はないです(笑)ただ、やっぱり今年は成果も出したんで自信を持たないといけないところなんでしょうね。防衛戦は4先だから、長期戦になると自分得意なんですけど、そこまで行けるかどうかですね。去年と同じメンバーが来るならやっぱり険しい道のりですね。でも頑張りますので、ぜひ皆さん会場に来ていただけたらと思います。大会って最初は出辛いと思うんですけど、やっぱり生の臨場感とか雰囲気っていうのは配信では伝わらない部分もありますので、ぜひ足を運んでいただけたらと思います。

ー自分のここを見てほしい、というポイントはありますか。

自分はやっぱりコンボです。自分はそれしかないんで。Wアップとかはよほどの状況じゃないと狙わず、大体その時の最大のコンボを選択するようにしています。状況に応じてコンボを選んでいきますので、そのあたり、ぜひ見ていただきたいですね。

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