「スライディング練習10本から」 初代「勝烏」ITOちりちり選手インタビュー

昨年の佐賀県称号大会で初の「勝烏」を戴冠したITOちりちり選手(以下ちりちり選手)。家庭用でプレイする時間が長く、今は徐々に広がってきているパッドを使っての大会参加も日本では先駆者だ。

昨年8月には世界大会EVOでベスト8、今年9月には東京ビッグサイト・TFTホールで開催された大会「MASTERCUP TRY TOKYO 2019」を勝ち抜き、念願のプロライセンスを獲得。12月には㈱FUJI技研nのゲーミングチームITOに加入し、「最強の素人」を返上して名実ともにプロとなった。

いかつい風貌とは裏腹に、物腰柔らかで優しい語り口が印象的なシャヒーン使いの第一人者。防衛戦への意気込みを語ってもらった。(聞き手:佐賀県eスポーツ協会事務局長:中島康晴)

「勝烏」大会申込フォーム(2020年1月5日9時半~)

女流大会「勝姫」申込フォーム(同日11時~)

大会概要

「お前にはセンスがない。やめたら」

—鉄拳歴を教えてください

中学1年生の時、学校帰りに先輩に連れていってもらったゲームセンターで鉄拳5DRでボコボコにされたのが鉄拳との出会いでした。

悔しいなーと思っていたら、親がたまたまゲームソフトを買ってきてくれていて、それが「鉄拳5」だった。それで先輩にリベンジするために本格的にやり込め始めましたね。

その先輩にはしばらくして勝てるようになったんですけど、そのゲーセンは本当に強い人が多くて、まだまだ勝てない人ばかりだった。そこで一人抜けて強い人に弟子入りしてさらに鉄拳に取り組むようになりました。「お前にはセンスがないから無理だ」なんてことも言われましたよ。でも「いや待ってくれ、あともうちょっとで抜くから」なんて言いながら続けてました。

本当に勝てない日が続いたんですが、ある時気付いたんですよ。鉄拳ってみんな「確反」に縛られてるんですけど、別に全部確反返さなくていいんじゃないかって。むしろ確反を入れてもわずかな体力が残ってレイジ状態の相手の集中力を上げるより、確反のミスを期待して立ちガードを固めている相手に下段を打って勝ちきる方が強いんじゃないか。これに気付いて飛鳥、ロウ使いの師匠にも勝ち、自信がつき始めましたね。当時はずっとミゲルを使ってました。カードなんか持ってなかったので、段位なんか気にせずひたすら師匠たちに勝ちたい気持ちでやってましたね。

スライディング練習10本から

ー自分の強さはどこにあると思いますか

自分、下手くそなんですよ。それは人からも言われるし、自分でもよくわかってます。だからそうでないところで勝負してやろうと思っていますね。長所を伸ばすというか。つまり基本を押さえた鉄拳というよりは我流なんですよ。だから叩かれることだってたくさんありました。

でも、これは師匠の教えなんですけど、「負けた者が口を開くな」というのがあって。我流でも何でも、俺に負けたやつが何言ったって、そんなの、ねえ。むしろ「悔しいのかーそうかー」って優越感に浸ってます(笑)。

自分でも得意かもしれないと思うのは、相手の立場に立って試合の展開を考えることです。いま、相手はこういうことを考えてるんだろうな、というのが何だかわかりますね。

自分のキャラ、シャヒーンには下段を襲うスライディングがあるんですけど、スライディングの構えを見せた時に、相手がどんな反応をするかはただしゃがんだだけでもう何パターンか決まるんですよ。特に段位が低い人ほど、守り方には癖があるんです。そういうのを最後のラウンドまで集めておいて、最後に全部出すっていうやり方で戦ってます。

「ちりちりの2択は通る」と言ってもらえることがあるんですけど、それは2択までに僕が相手の守りのクセを見抜いているからですね。ラウンドが始まってから、相手が立っている、下がっている、そんなことからもう相手の心理を想像しています。

—普段はどんな練習を
プロと言っても普通の仕事もやってますんで、毎日決まった時間は取れないんですが、基本家庭用をメインに修練を積んでます。毎日スライディング10本から始まって。

—それだけのシャヒーン使いなのに、まだそんな基礎練習をされているとは驚きです。

いやー、これが大会本番になると、たまーに出ない時あったりするんですよ。そんなの嫌だから、やっぱりやっておきますよね。この練習のおかげで、スライディングまでの動作は「お前が一番早い」と言ってくれた人もいます。

自分のスタンスとして、負けた相手には絶対リベンジするという気合でやってるんですよ。鹿児島の大会で負けた相手の対策を2週間みっちりやって再度鹿児島にリベンジに訪れたこともあります。もちろん勝ちました(笑)ランクマやると強い人もたくさんいるんですよね。結構負けてます。その度に対策をみっちりやってますね。

あとは、やっぱり新キャラが出たらランクマですぐ使います。特にシャヒーン使いが来たらラッキーですね。無料で技の対策を教えてくれるようなもの。自分がやられて嫌だったことを今度はシャヒーンを使って自分がそのキャラにやればいいんですから。サブは完全勝ち負けは度外視でやってます。そこでの負けは全然気にしない。

プロライセンス取得

プロはやっぱり目指したいと思っていたので、プロ取得がかかった大会の決勝まで行った時は本当に嬉しかったです。ただ、自分が今度の勝烏大会でも「来たら嫌だな」と思っているプレイヤーが3人いて、それが福岡のピコはんこーき、弦、長崎のチクリンさんなんですけど、そのうちのこーきがその決勝の相手だったんですね。どっちがプロになれるか、という戦いだったんですが、正直自信はなかったです。ただ、勝ったのは僕でしたね。

-「勝烏」大会はどんな印象

前回は、実は初めからイケる(=優勝できる)と思っていました(笑)。アメリカ行った時もなんですけど、僕、大会でそういうのわかるんですよ。福岡から一緒に遠征した人に「俺、今日優勝しそう」なんて言ってました(笑)

大会自体はすごくいい雰囲気ですね。特に初心者の方が入りやすい雰囲気だと思います。後は我々壇上に上がっていくような上級者が、殺伐とした試合の中でも観戦に回ってくれた人を最後まで楽しませることが出来るように「魅せるプレイ」をやっていくことも大事でしょうね。

-ちりちりさんと防衛戦を戦う「仮想挑戦者」は

さっき言った3人ですけど、その中でも何と言っても前回決勝を戦った「チクリン」さんですね。前回は僕がチクリンさんの立ち回りやクセを覚えていたので、いわゆる「人読み」が効いたのと、ウィナーズでアドバンテージを持った上での短期決戦だったで何とか勝てましたが、もしあの時「10先」ぐらいの長期戦だったら危なかったと思います。

実際、その後アメリカ遠征の時にチクリンさんと部屋が一緒で対戦したんですけど、めちゃくちゃ対策されていてボコボコにやられました。チクリンさんは先の世界大会でも優勝して、今ノリに乗っています。こっちもさらに準備をしなければいけませんね。

勝てる確率?チクリンさんがもし来たら?そうですね、、今は30%かな…。ここからの準備で5割以上に持っていけるかどうかですね。

-ちりちりさんはシャヒーン使いということが挑戦者にはわかっています。一方、ちりちりさんは挑戦者のキャラが今はわからないという点は

そうですね。もし挑戦者がチクリンさんならギースか、豪鬼か…新キャラのリロイも大いにあり得ると思います。鉄拳のキャラは通常Sぐらいまででランク付けされることが多いんですけど、リロイは僕の中でSSですよ。

ワンワン両パン(LPLPWPLP)を壁際で出されるだけでペースを握られる、それに超強いのが2WPですね。ガードさせて五分で相手はしゃがみ状態、カウンターでコンボですから、これを連発されると、少しずつ下がる、ぐらいしかできなくなるんですよ。そういう風に行動を制限されるといいように攻められるので、ここの対策は非常に大事だと思っています。

僕は鉄拳7でミゲルからシャヒーンに移って以来、キャラ替えはしてないですが、今大会ではちょっと温めてるキャラが2人ほどいます。出すかどうか…は当日のお楽しみですね。

プロフィール

プレイヤーネーム ITOちりちり
出身 福岡県田川市
年齢 26
使用キャラ シャヒーン
鉄拳歴 13年
2児の父

「勝烏」大会申込フォーム(2020年1月5日9時半~)

女流大会「勝姫」申込フォーム(同日11時~)

大会概要

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