「虎の陣」大会レポート

九州勢の総力戦となった九州大会後半戦「虎の陣」。全31試合のうち、配信されたのは12試合。そのうち特に運営班が印象に残った試合とシーンについて、いくつか紹介したい。(※文中敬称略)

漢(おとこ)投げ

福岡の強豪で優勝候補と目された「なおーん」の豪鬼が1回戦から盤石の動き。「コンバット田中」のリュウ戦では、通常技の差し合いを完全に制し、3回のCAフィニッシュで8強入りを真っ先に決める。誰もが上位抜けを信じて疑わない、らしさを見せた立ち上がりだったが…

ベスト8でその「なおーん」と当たったのは、ファルケ使いの「みなぎ」。1~2回戦に続き、隙の無い立ち回りで圧倒し、あっという間にリーチをかける「なおーん」だったが、リーチをかけられた状況で「みなぎ」が大パン暴れからコンボを決めて1ラウンドを取り返すと、次のラウンドも、お互いにリーサルが見える状況から豪鬼の歩きに対してしゃがみ中パンチを差し、ヒット確認からCAまで決めて1本を取り返す。お互いに1本を取り合った3試合目では、ここぞというポイントでの勇気を持った「みなぎ」の計4回の投げが試合の流れを引き寄せ、優勝候補撃破を演じる。

8回戦もう一つの注目は、龍の陣でも8強へのぼった「GONDO」バーディーが再登場。対する「バンド」コーリンは反応が良く、なかなかリスクなくバーディータイムが出来ないGONDO。必ず端を背負う展開が生まれ、かつ端から絶対に逃がさない「バンド」の集中した攻めと守りのバランスが光る。起き攻めで数度の詐欺飛びを通し、十分に立ちガードを意識させておいて、最後に温存していたスカし下段で1試合目を奪うと、続く2試合目は端で攻められ、ジャンプで回避を狙った「GONDO」のめくり攻撃にしゃがみ大パンチを当てるという、脅威の集中力で「バンド」が4強進出。

時間の魔術師

ベスト8最後のカード「Ahosei」メナトvs「赤眼龍」リュウ(Altimate Grand Master)は、本大会ベストバウトと言っても過言ではない名試合となった。なんと1試合目、互いに1ラウンドずつ取った状態で95秒、リュウの目の前にスフィアを置いたまま動かなくなる「Ahosei」、同じく「赤眼龍」も微動だにせず、その状況で45秒が経過する。共に体力はMAX、ただ、「ahosei」にはゲージがなく、「赤眼龍」は逆にゲージはほぼMAX。仮に0秒付近まで行くと、EX波動に削られるため、飛びを通すなどの無理をした行動をせざるを得ない状況。「ahosei」にどんな狙いがあるのか?緊迫した静止時間は残り40秒で変化。スパークで遠距離スナイプモードでの体力削りかと思いきや、早い段階での飛びが意表を突いた形となり、「赤眼龍」に通る。残り30秒で体力リードを守って勝利。続く2本目でも同じような展開で攻めと守りの緩急ある攻めで対策を絞らせず、合計4ラウンドの時間切れ勝ちを制してahoseiが4強へコマを進める。

準決勝「みなぎ」vs「ほるもん」のキャミィでは、みなぎの前試合での鋭い投げが今回もほるもんのキャミィに通っていくが、「ほるもん」のキャノンストライクを軸とした空中戦が強く、特にトリガーで強化されてからの投げとの択一が何度もみなぎのガードを崩し、1試合目を獲得。「みなぎ」はキャラをアビゲイルに変えて挑むが、スピードを生かした立ち合いと、思い切りのいい択、ヒット確認の精度で「ほるもん」が危なげなく決勝へコマを進める。

同じく準決勝の「ahosei」vs「バンド」コーリンでは、先ほどタイムアタック狙いの持久戦を得意としたahoseiが打って変わって攻めのメナトを見せ、1ラウンドも取られず「バンド」を撃破

まさかこれが大会で見られるとは

決勝は「ahosei」vs「ほるもん」。ここまで手堅い守りで勝ち上がってきた「ahosei」だったが、空中戦を得意とし、トリガーで強化されたキャノンストライクと通常ストライクを使い分ける「ほるもん」に、ガードを破られ、「ほるもん」があっという間に2試合を先取。それでもペースを乱さず、弱キックを中心とした発生の速い暴れと適切な対空技の使いわけで1試合を取り返すと、続く4試合めでは、しゃがパン暴れトリガー発動から、まさに”芸術”とでも呼ぶべきビットを絡めた44ヒットコンボCAフィニッシュでタイ。続く5試合でも同様のコンボを決めると、最後は再び「攻め」メナトでそのまま相手を圧倒し、「ahosei」が「虎の陣」覇者として予選を締めくくった。

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